藍は風弥の存在も忘れて、目を見開いたまま、ぎゅっと奥歯を噛みしめた。
ガキィンという金属音。
竜胆丸が、驚いた表情で動きをなくす。
与一の額のすぐ前で、竜胆丸の脇差しは、エンフィールドに受け止められていた。
そのまま拳銃で脇差しを払い、反対の手で、いきなり竜胆丸の胸倉を掴むと、与一は己の身体を引き起こすように、力任せに竜胆丸を引き寄せ、その勢いのまま、竜胆丸の顎に頭突きを喰らわせた。
前へ引っ張られる力と、前から与一が起き上がる力がそのまま叩き込まれ、への字に曲がった竜胆丸の口の隙間から、白い歯が飛ぶ。
顎に強烈な一撃を喰らって、脳が揺れたのだろう。
竜胆丸の身体が、ゆらりと揺れた。
与一は胸倉を掴んでいた左手で、竜胆丸の顔面を鷲掴みにすると、そのまま倒れ込むように、後ろの木に竜胆丸の後頭部を打ち付けた。
ぐりんと竜胆丸の黒目が反転し、ずるずると崩れ落ちる。
「ほおぉ。竜胆丸を倒すとは、お見事。だが、お前さんも相当な傷を負ってしまったな。そんな満身創痍の状態で、俺の相手もできるかね?」
ゆっくりと与一に歩み寄る風弥が、落ちていた与一の小太刀を投げて寄越す。
「・・・・・・余裕だな。確かに、こいつの命を盾に取ったところで、美しくなくなったこいつは、最早お前の興味は、惹かないだろうな」
荒い息をつきながら、与一は、受け止めた小太刀の切っ先で、木の根元に蹲る竜胆丸の顔を持ち上げた。
顎の骨が砕け、歯が折れまくった上に、鼻血も出ている。
それでも、顔は血まみれだが、造形自体は、そう酷く壊れたわけではない。
だが、美の探求者である風弥にとっては、最早ごみ同然にまで落ちたことだろう。
案の定、風弥はちらりと竜胆丸に冷たい一瞥をくれただけで、鼻を鳴らした。
ガキィンという金属音。
竜胆丸が、驚いた表情で動きをなくす。
与一の額のすぐ前で、竜胆丸の脇差しは、エンフィールドに受け止められていた。
そのまま拳銃で脇差しを払い、反対の手で、いきなり竜胆丸の胸倉を掴むと、与一は己の身体を引き起こすように、力任せに竜胆丸を引き寄せ、その勢いのまま、竜胆丸の顎に頭突きを喰らわせた。
前へ引っ張られる力と、前から与一が起き上がる力がそのまま叩き込まれ、への字に曲がった竜胆丸の口の隙間から、白い歯が飛ぶ。
顎に強烈な一撃を喰らって、脳が揺れたのだろう。
竜胆丸の身体が、ゆらりと揺れた。
与一は胸倉を掴んでいた左手で、竜胆丸の顔面を鷲掴みにすると、そのまま倒れ込むように、後ろの木に竜胆丸の後頭部を打ち付けた。
ぐりんと竜胆丸の黒目が反転し、ずるずると崩れ落ちる。
「ほおぉ。竜胆丸を倒すとは、お見事。だが、お前さんも相当な傷を負ってしまったな。そんな満身創痍の状態で、俺の相手もできるかね?」
ゆっくりと与一に歩み寄る風弥が、落ちていた与一の小太刀を投げて寄越す。
「・・・・・・余裕だな。確かに、こいつの命を盾に取ったところで、美しくなくなったこいつは、最早お前の興味は、惹かないだろうな」
荒い息をつきながら、与一は、受け止めた小太刀の切っ先で、木の根元に蹲る竜胆丸の顔を持ち上げた。
顎の骨が砕け、歯が折れまくった上に、鼻血も出ている。
それでも、顔は血まみれだが、造形自体は、そう酷く壊れたわけではない。
だが、美の探求者である風弥にとっては、最早ごみ同然にまで落ちたことだろう。
案の定、風弥はちらりと竜胆丸に冷たい一瞥をくれただけで、鼻を鳴らした。


