「やかましい! ぼ、僕が、醜いだと? ガキの分際で、生意気なこと言うんじゃない!」

「あ~、うるさい。大体あんたの大好きなお頭、あんた以外にも手出してるじゃない。衆道街の、常連なんでしょう? それでもあんたは、一番なわけ?」

「当たり前だ! 衆道街の色子なんかと一緒にするな! 僕は綺麗だし、強いんだ! 十分お頭のお役に立てる。衆道街なんか、一時的な快楽だけだろ。僕は常にお頭のお役に立ってるんだ! 僕が一番に決まってる!」

ぎゃんぎゃん吠える竜胆丸に、うげぇ、と舌を出し、藍はひらひらと手を振った。

「はいはい、わかったわ。じゃ、そのお綺麗なあなたは、あたしの一番の相手をしなさい。あんたと違って、よいっちゃんは、男らしくて強いわよぅ?」

「お前さんの相手は、この俺というわけか?」

風弥が面白そうに言いながら、縁側から下りて藍に近づく。

「ふん。こんな男、すでにのされてるじゃないか。僕の相手じゃないね・・・・・・」

鼻でせせら笑って与一を無視し、風弥に歩み寄る竜胆丸に、藍の目が細められる。

「!」

風弥が飛び退くのとほぼ同時に、背後から飛んできた組紐が、竜胆丸の首に巻き付いた。
そのまま紐を引かれ、竜胆丸は、大きく二、三歩後ずさる。

「おっお前・・・・・・っ!」

驚愕に目を見開きながらも、竜胆丸は必死で首を締め上げる紐に手をかけ、空気を確保しようとする。

「油断すんのぁ、完全に息の根止めてからにするんだな」

竜胆丸の背後で、紐を締め付けながら、立ち上がった与一が言う。