藍は渡された包みに視線を落とした。
先程朔太郎に抱き上げられただけで、あんなに泣き喚いたのは、狙ってのことではない。
与一以外の男に触れられるのを嫌がるのはいつものことだが、下心丸出しの風弥に抱き寄せられても耐えられたのに、純粋に心配して抱きかかえた朔太郎に、我慢できなかった。
その後あんなに取り乱したのも、自分でも信じられない。
与一と別れて、まだ一時(いっとき)ほど。
それぐらい離れていることぐらい、いつものことだし、むしろまだ短いほうだ。
藍は己の身体を抱くように、両腕を掴んだ。
---よいっちゃんに会いたい!---
何故だか、無性に与一に飛びつきたい。
そう思うと、すぐにでも千秋屋を飛び出したくなる。
「じゃあ、折角だから、与一も呼ぼうか。彩ちゃんも、その握り飯、早く渡したいだろうし」
三郎太が、藍の心を読んだかのように言った。
凡人の三郎太の目にも明らかなほど、藍は寂しそうだったようだ。
藍が、ぴょこんと立ち上がろうとする。
が、三郎太が、そんな藍を止めた。
「彩ちゃんは駄目だよ。気分が悪いと言った手前、すぐにここから出るのは、おかしいだろ。迎えを寄越すから、家教えてくれよ」
にゃあ、と呟き、藍はぺたんと座り込んだ。
もし藍の耳が猫耳であれば、目に見えて耳は元気なく、後ろに倒れていたことだろう。
先程朔太郎に抱き上げられただけで、あんなに泣き喚いたのは、狙ってのことではない。
与一以外の男に触れられるのを嫌がるのはいつものことだが、下心丸出しの風弥に抱き寄せられても耐えられたのに、純粋に心配して抱きかかえた朔太郎に、我慢できなかった。
その後あんなに取り乱したのも、自分でも信じられない。
与一と別れて、まだ一時(いっとき)ほど。
それぐらい離れていることぐらい、いつものことだし、むしろまだ短いほうだ。
藍は己の身体を抱くように、両腕を掴んだ。
---よいっちゃんに会いたい!---
何故だか、無性に与一に飛びつきたい。
そう思うと、すぐにでも千秋屋を飛び出したくなる。
「じゃあ、折角だから、与一も呼ぼうか。彩ちゃんも、その握り飯、早く渡したいだろうし」
三郎太が、藍の心を読んだかのように言った。
凡人の三郎太の目にも明らかなほど、藍は寂しそうだったようだ。
藍が、ぴょこんと立ち上がろうとする。
が、三郎太が、そんな藍を止めた。
「彩ちゃんは駄目だよ。気分が悪いと言った手前、すぐにここから出るのは、おかしいだろ。迎えを寄越すから、家教えてくれよ」
にゃあ、と呟き、藍はぺたんと座り込んだ。
もし藍の耳が猫耳であれば、目に見えて耳は元気なく、後ろに倒れていたことだろう。


