三郎太は、てこでも藍を離さない朔太郎に呆れながらも、仕方なく後ろから押してやり、朔太郎がやっと廊下に上がると、湯の用意をします、と言って、足早に去っていった。
「さ、じゃあ早く」
お蓉が先に立ち、廊下を歩いていく。
朔太郎は、よろよろしながらも、藍を落とすことなく部屋に辿り着いた。
「とりあえず、汚れを拭かなくちゃね。朔太郎、外してちょうだい」
「あ、はい」
藍を下ろして、放心状態だった朔太郎は、お蓉の言葉で我に返り、慌てたようにさがっていった。
「ああ、やれやれ。まったく、担げないなら担ぐなっての」
お蓉が襖を閉めると同時に、藍がこきこきと首を回しながら言った。
「良い子なんですけどね。ちょっと思い込みが激しいというか」
「まぁ・・・・・・、悪気はなかったんだろうけど」
でも、あたしに触れていいのは、よいっちゃんだけなんだからねっと呟きつつ、藍は顎の紐を解き、笠を取った。
あまりこのような人の多い大店で顔を曝したくはないが、屋敷内に入っているのに、いつまでも笠を取らないのは、どう考えてもおかしい。
「さ、じゃあ早く」
お蓉が先に立ち、廊下を歩いていく。
朔太郎は、よろよろしながらも、藍を落とすことなく部屋に辿り着いた。
「とりあえず、汚れを拭かなくちゃね。朔太郎、外してちょうだい」
「あ、はい」
藍を下ろして、放心状態だった朔太郎は、お蓉の言葉で我に返り、慌てたようにさがっていった。
「ああ、やれやれ。まったく、担げないなら担ぐなっての」
お蓉が襖を閉めると同時に、藍がこきこきと首を回しながら言った。
「良い子なんですけどね。ちょっと思い込みが激しいというか」
「まぁ・・・・・・、悪気はなかったんだろうけど」
でも、あたしに触れていいのは、よいっちゃんだけなんだからねっと呟きつつ、藍は顎の紐を解き、笠を取った。
あまりこのような人の多い大店で顔を曝したくはないが、屋敷内に入っているのに、いつまでも笠を取らないのは、どう考えてもおかしい。


