「一体藍さんは、普通の人から見たら、いくつに見えるんですかね」

自分より若く見えるのは確実だが、では世間的にはいくつに見えるのかは、長く近くで見すぎたせいか、与一にはわからない。

「よいっちゃんの、恋人に見えるぐらいよぅ」

藍が、腕を組んだままで、にこりと笑う。

「それだけでは駄目ですよ。迷子になって、泣くぐらいの子供に見えないと」

「あたしだって、よいっちゃんとはぐれちゃったら、泣くわよ」

与一は眉間に皺を刻んで黙り込んだ。
やはりわからない。

「大丈夫よ。べつに迷子でなくてもいいんだし。夜盗に襲われた女子(おなご)でもいいわけだしね。あたしが上手くやるから、心配いらないわ」

ぎゅっと組んだ腕に力を入れて、藍が言う。
こういう藍の言葉に安心してしまうのは、藍が与一を慕うように、与一も藍に全幅の信頼を寄せているからだ。

それに気づき、与一は苦笑いを返した。