だから、出来る限りその手を血で染めろ、と。

また、殺し屋は無闇に死ぬな、とも言う。
散々人を殺してきたのに? と言うと、藍は少し冥い目をして言った。

『だからこそよ。今までたくさんの人の命を奪っておきながら、とっとと死に急ぐなんて、虫の良い話だわ。殺した人の分まで、命汚く生きないと、殺した人に申し訳がないってなものよ』

非情な殺し屋のわりに、標的をモノとしてしか認識しないわけではなく、人として挑む。
それでいて、確実に任務をこなす藍は、まさに夜叉のような女なのだ。