『成人のお祝いよぅ。よいっちゃんは男の子だから、SAAよりいろんなところで力はいるけど、こっちがいいと思うわ』

そう言って、この回転式拳銃を手渡し、それからは体術や、あらゆる刃物の使い方に加えて、拳銃の扱い方も叩き込んだ。
今ではすっかり、手に馴染む。

殺し屋に、拳銃は便利な道具だが、藍は拳銃に頼るのをよしとしない。

拳銃を使うのは、それしか方法がないとき。
最終手段だと言うのだ。

『いいこと? 拳銃は、遠くからでも的を仕留めることができるし、こちらの体力もほとんど使わないから、とっても便利だけど、殺される的の身にもなって。何が何だかわからないうちに、どこからか飛んできた弾に命を奪われるなんて、あまりに惨めじゃない? あたしたちだって、人を殺したっていう感覚が、あまりないまま事が終わってしまう。それは、恐ろしいことよ。人を殺す以上、その人の人生を奪う責任を負わないと。人を斬り裂く感触を感じないまま人を殺すのは、その責任から逃げることだわ』