「・・・・・・なかなか面白い連れ合いだなぁ」
三郎太が、呆れたように言った。
与一は少し口角を上げただけで、お蓉を見た。
お蓉はようやく落ち着いたようで、部屋の中をきょろきょろと眺めている。
こういう宿は、珍しいのだろう。
「三郎太は、お嬢さんを止めようとしたって言ってたな。あんたぁ、何するつもりだったんだい?」
退屈なのか、後ろからずりずりと布団にくるまったまま与一の膝に頭を乗せてくる藍を適当にあしらいながら、与一はお蓉に尋ねた。
お蓉はそんな藍を驚いたような目で見、少し軽蔑したような、それでいて羨ましそうな表情になって、与一を見た。
「それは・・・・・・。あなたには、関係のないことです」
与一の鋭い目が怖かったのか、元々男に慣れていないのか、お蓉は少し口ごもったが、きっぱりと言った。
途端に藍が、与一のほうに向けていた顔をくるりと反転させ、お蓉をじろりと睨んだ。
「あたしと与一の邪魔をしといて、関係ない? ええ、そりゃ関係ないわよ。他の泊まり客に見つかって、大恥かくとこだったのを助けてあげたのに、とんだ恩知らずだわね。千秋屋のお嬢様も、ただの我が儘お嬢様ってことね」
三郎太が、呆れたように言った。
与一は少し口角を上げただけで、お蓉を見た。
お蓉はようやく落ち着いたようで、部屋の中をきょろきょろと眺めている。
こういう宿は、珍しいのだろう。
「三郎太は、お嬢さんを止めようとしたって言ってたな。あんたぁ、何するつもりだったんだい?」
退屈なのか、後ろからずりずりと布団にくるまったまま与一の膝に頭を乗せてくる藍を適当にあしらいながら、与一はお蓉に尋ねた。
お蓉はそんな藍を驚いたような目で見、少し軽蔑したような、それでいて羨ましそうな表情になって、与一を見た。
「それは・・・・・・。あなたには、関係のないことです」
与一の鋭い目が怖かったのか、元々男に慣れていないのか、お蓉は少し口ごもったが、きっぱりと言った。
途端に藍が、与一のほうに向けていた顔をくるりと反転させ、お蓉をじろりと睨んだ。
「あたしと与一の邪魔をしといて、関係ない? ええ、そりゃ関係ないわよ。他の泊まり客に見つかって、大恥かくとこだったのを助けてあげたのに、とんだ恩知らずだわね。千秋屋のお嬢様も、ただの我が儘お嬢様ってことね」


