藍の帯を解いてやった与一は、彼女の首筋についた赤い痣に気づいた。

「そういや藍さん、珍しく怪我しましたね。頬は大丈夫ですか?」

藍は、ひょいと振り向きざま与一を見上げ、着物を落とすと同時に、小袖の懐から繻子の布を取り出した。

「うん。大したことないわ。でもこれ、汚れちゃったから、洗っておくわね」

頬の傷は、すでに塞がって薄い線になっている。

「よいっちゃん。心配してくれるんだったら、舐めて消毒してくれてもいいのよ?」

小袖姿で抱きついてくる藍を引き剥がし、与一は自分の帯を解いた。

「嫌ですよ。もう傷は、塞がってます」

「うも~っ。優しいんだか優しくないんだか、わかんないわっ! そうだ! よいっちゃんこそ、傷見せてみなさいよ」

言うなり藍は、与一の手を払うと、素早く解きかけの帯を落とし、彼の着物を剥ぎ取った。

「さ! そこに寝て!」

藍が指差す布団の上に、与一があぐらをかくと、その前にぺたんと座り、藍はぐい、と与一の肩を押した。