与一は大きくため息をついた。

そういう人なのだ、この天女は。

裏の世界では、知らない者はない、超一流の殺し屋・藍。
この天女に狙われた瞬間、その者の運命は決まるのだ。

「とりあえず、お姉さんのためにも、あたしに引き取られて良かったでしょ?」

ぱっと小袖の裾を割って、露わになった太股にホルスターを取り付けながら、藍が言う。

先程のような、どうでもいい会話の中では恥じらってみせるくせに、何故こういうことを、平気で男の前でするのだ。

少々呆れながら、仕方なく視線を外し、与一は呟いた。

「お三津は別に、俺の姉じゃありませんよ」