「な、何言ってるんだよ。そんな恐れ多い。あ、あれは、お世話になってるお嬢さんに、感謝の印として・・・・・・」
三郎太が、真っ赤になって狼狽えながら、意味もなく己の膝をさする。
何てわかりやすい奴なんだ、と思いながら、与一は横目で三郎太を眺めた。
「照れるな、照れるな。確かに奉公人上がりのお前さんは分が悪いかもしれねぇが、千秋屋の旦那は、人を見る目は確かなお人だぜ。お前さんのことも買ってる。あそこは息子さんがいらっしゃらねぇし、お嬢さんの婿となりゃ、まずお前さんを考えるはずだ」
辰巳の言葉に、茫然と聞き入っていた三郎太だが、不意に複雑な表情になって下を向いた。
「そうかな。確かに旦那様からも良くしてもらってはいるが。けどなぁ、実はここにきて、とんだ鳶(とんび)が現れたんだよ」
三郎太が、真っ赤になって狼狽えながら、意味もなく己の膝をさする。
何てわかりやすい奴なんだ、と思いながら、与一は横目で三郎太を眺めた。
「照れるな、照れるな。確かに奉公人上がりのお前さんは分が悪いかもしれねぇが、千秋屋の旦那は、人を見る目は確かなお人だぜ。お前さんのことも買ってる。あそこは息子さんがいらっしゃらねぇし、お嬢さんの婿となりゃ、まずお前さんを考えるはずだ」
辰巳の言葉に、茫然と聞き入っていた三郎太だが、不意に複雑な表情になって下を向いた。
「そうかな。確かに旦那様からも良くしてもらってはいるが。けどなぁ、実はここにきて、とんだ鳶(とんび)が現れたんだよ」


