「あたしだって、それぐらいわかってます」
「でも、じゃあ何で、接吻は知らないんです?」
「知ってるわよっ! でも接吻っていうのは、ほんとに好いた相手とするものでしょっ! だから遊女は、滅多に客と接吻は、しないんじゃないっ!」
なるほど。
言われてみれば、確かにそうだ。
遊女は大抵、口を吸う行為を嫌がるという。
それには、そういう理由があったのか。
女ならではの理由のような気がして、与一は改めて、藍さんも女なんだなぁ、と妙に感心した。
「大体、接吻を手にするなんて、どうかしてるわよ! 接吻ってのは、好いた者同士が口にするものでしょっ!」
ぷんぷんと怒りながら、藍が力説する。
与一はそんな藍の、微妙に幼い恋愛感覚に、吹き出しそうになった。
「口にしたいところを、手で我慢してくれたと思えばいいじゃないですか」
笑いを堪えて言った与一に、藍がぴたりと動きを止めた。
「でも、じゃあ何で、接吻は知らないんです?」
「知ってるわよっ! でも接吻っていうのは、ほんとに好いた相手とするものでしょっ! だから遊女は、滅多に客と接吻は、しないんじゃないっ!」
なるほど。
言われてみれば、確かにそうだ。
遊女は大抵、口を吸う行為を嫌がるという。
それには、そういう理由があったのか。
女ならではの理由のような気がして、与一は改めて、藍さんも女なんだなぁ、と妙に感心した。
「大体、接吻を手にするなんて、どうかしてるわよ! 接吻ってのは、好いた者同士が口にするものでしょっ!」
ぷんぷんと怒りながら、藍が力説する。
与一はそんな藍の、微妙に幼い恋愛感覚に、吹き出しそうになった。
「口にしたいところを、手で我慢してくれたと思えばいいじゃないですか」
笑いを堪えて言った与一に、藍がぴたりと動きを止めた。


