「つまり、藍さんの会った男が頭で、俺と辰巳を襲った実戦要員。与力に紛れ込んだ間諜に、殺された奴･･････も、一応実戦要員だったってことですね」

う～ん、と藍は、頭を抱えた。
そんなことより、御珠の情報が欲しい。

「外堀が深すぎるわっ！　まだ御珠が何かすら、掴んでないのに」

辰巳から探るか、あの男から探るか･･････。
どちらにしろ、その道に足を突っ込まなければならない。

ぞぞぞっと怖気が走り、藍は思わず味噌汁の椀を取り落としそうになった。

「藍さん、大丈夫ですか？」

「うう･･････。よいっちゃん、御珠の情報を聞き出しやすいのは、どっちだと思う？」

与一は麦飯を掻き込みながら、思考を巡らした。

「現時点では、その頭の男のように思いますが」

だが、次も何もしないで済ますことが、できるだろうか？
それに、組織の頭たる人間が、入れあげたとはいえ一介の陰間に大事な情報を漏らすだろうか。