「あの男の感触を、よいっちゃんにすり替えるのっ」

「・・・・・・何で・・・・・・」

げんなりと言う与一に、藍は相変わらず興奮気味に身を乗り出した。

「何回言わすのよ! よいっちゃん以外の男の感触なんて、残しておきたくないのっ! さぁさぁ!」

ぐいぐいと手を与一の顔に近づける。
与一は腹筋に力を入れることができず、顎を上げて迫る手から逃れる。

が、ふと思いついて少し力を抜いた。
このまま手を顔に押しつけられれば、済むのでは。

しかし藍は、与一の心を読んだように、すっと手を引くと、自分の手を与一の手に重ねて言った。

「あたしが無理矢理よいっちゃんの口に押しつけても駄目なのよ。よいっちゃんが、自主的に、あたしの手を舐めてくれなきゃ」