何とか立ち上がった与一を、自分の胸で支えながら、肩にかかった小袖の襟を掴んだ藍は、ありゃ、と間抜けな声を出した。

「あ、これじゃ二人羽織になっちゃう。あたしはそれでも良いけどね」

藍がぴたりと与一にくっついているため、小袖の前を合わせられないのだ。

「立ち上がってしまえば、支えがなくても立っていられますよ」

与一が藍の肩に手をかけ、身体を起こすように少し離した。

「あぁん。もう」

不満げに鼻を鳴らす藍をそのままに、与一は自分で小袖の前を合わせた。

与一が小袖を着終わると、再び藍は、いそいそと与一に抱きつく。

「何かやけに、くっついてません?」

突っ立ったまま、与一は藍を見下ろした。