「そうねぇ。ちょっと下帯までは、替えられないわ」

新しい下帯を差し出しながら、藍がほのかに頬を染めて笑った。

「藍さんにも、そういう恥じらいはあるんですね」

藍なら、平然と下帯まで替えそうだと思っていた与一は、思わず口に出してしまった。
藍はぶぅ、と膨れたが、珍しく飛びかかることも、何かを投げつけることもなく、血に汚れた布を洗った。

「よいっちゃんだって、十分不感症だわよ。あたしが引っ付いて寝たって、何もしないじゃない」

「藍さんに何かしようなんて命知らずな考えを起こすのは、藍さんの正体を知らない一般人だけですよ」

濡れた布を受け取り言う与一を、藍はじっと見つめた。

「お水、替えてくるわ」

桶を持って部屋を出て行く藍の背中が、やけに小さく見える。

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