「お三津は、元気にやってるかなぁ」

優しい姉のようだったお三津は、己のように汚れないでいて欲しいと思い、ぼそりと言った与一に、藍がいきなり身体をぶつけてきた。

「うげっ! な、何ですか!」

油断していた与一は、まともに胸に衝撃を受けて、むせながら肘をついて、上体を起こした。

「やだ! 女のことは、考えないでよ! よいっちゃんが、そんな色気づくのは嫌~っ!」

うんざりとしつつ、与一は相変わらず自分の上で駄々をこねる藍を引き剥がした。

「俺だって、男です」

「きゃあっ、嫌ぁっ! よいっちゃんが、そんなこと言うなんて! あたしの身体も、危険だわーっ!」

己の肩を抱いて震えてみせる藍に、与一は頭を抱えた。

言葉とは裏腹に、藍の足は、がっちりと与一の足を押さえている。
少女だからとナメていては、痛い目を見るどころか、命を落とす相手なのだ。

「藍さんを襲うほど、飢えちゃいません。欲望のために命を落とすほど、馬鹿じゃないです」