藍に傷口を縫合してもらっている間、与一は激痛に、たまたま手の傍にあったものを握りしめていた。
そのときは気づかなかったが、与一が握っていたのは、藍の足だったのだ。

「氷を買いに行く暇が、なかったからねぇ。痺れ薬を麻酔の代わりにしたんだけど、やっぱりあんまり効かなかったみたいね。凄い力だったわぁ。でも、よく耐えたわね」

よしよし、と藍は与一の頭を撫でる。

「形がくっきりついてしまいましたね。すみません」

「いいのよぅ。よいっちゃんが、頼ってくれた証だもの~」

「・・・・・・握るのに、ちょうどいい細さだったので」

よくわからないな、と思いながら、与一は藍の足首を握ってみせる。
途端に藍が、頬を膨らませた。

「握ってたのがあたしの足だから、縫合にも耐えられたのでしょっ?」

「・・・・・・そうかもしれませんね」

「そうなのっ!」

「はい」