外科医さながらの鮮やかな手つきで、てきぱきと傷口を縫い合わせた藍は、糸を処理すると、ふぅ、と息をついた。

「さ、これで大丈夫。よいしょっと」

仕上げに消毒液を振りかけ、サラシで傷口を押さえながら、藍は与一の腰の下に手を入れて、力を入れた。

「うう、重いわ。よいっちゃん、悪いけど、起きられる?」

サラシを巻くために与一を起こそうとした藍だが、見かけ同様、大の男を抱き起こせる力などないため、ぺたんとその場に潰れてしまう。
仕方なく与一に協力を頼み、抱きつくように与一の上半身を支えながら、藍はずりずりと膝で移動しつつ、腰にサラシを巻き付けた。

大人しく藍の肩に手を回してもたれている与一を、再びゆっくり寝かすと、藍は与一に引っ付いたまま、ふいーっと息を吐くと同時に力を抜いた。

「ああ疲れた。でも、よいっちゃんが無事で良かったぁ~」

気が抜けたと同時に、どっと疲れが出た藍は、与一に抱きついたまま、眠りに落ちていった。