色町の外れの家に飛び込むと、藍はそのまま二階に駆け上がった。

「よいっちゃぁん!」

叫びながら、部屋に飛び込む。
与一は上半身をさらけ出した格好で、布団の上に転がっていた。

「よいっちゃぁん! 怖かったぁ~っ!」

寝転がったままの与一に飛びついた藍は、次の瞬間、がばっと飛び起きた。

「よいっちゃん! 大丈夫っ?」

右側を下にして寝転がっていたためわからなかったが、敷き布団に敷かれたサラシには、夥しい血がついている。

「どうしたのっ? 傷が開いたの?」

言いながらも与一の身体を転がし、てきぱきと傷を確認する。

雑に応急処置の施された傷は、今朝見たときよりも大きく抉れている。
傷からの出血は止まっているようだが、傷口から下の身体は、血に染まっていた。