「ほんにお前は可愛い。どうだい、俺専属にならないか?」

専属って、一体どういうことだろうか、と思いながら、藍は癖で小首を傾げた。
それがまた、風弥にはたまらないらしい。
鼻の下が、伸びっぱなしだ。

「でもさ。あんたは何か、怖いことしてるお人じゃないのかい? ‘いくら俺でも’って、そういうこったろ」

「いやぁ、お前は頭が良いな。ますます惚れそうだ。ふっ、確かにな。堅気ではないかもな」

藍が、興味津々の目で風弥を見る。
そこが知りたいのだ。

「旦那さん、何してるお人?」

思いっきり上目遣いに、だめ押しの流し目。
風弥を落とすには、効果抜群。
が、今にも飛びかからんばかりに興奮した風弥に、危機感も覚える。
藍は珍しく、不安になった。

---うえぇぇん。よいっちゃぁん・・・・・・---

与一を辰巳のところに行かした罰かしら~っと思いながら、藍はさりげなく退路を探した。