「殺しなんざ、やろうと思えば誰にでもやれるぜ。でもま、確かにずぶの素人に頼んで妙な証拠でも残されちゃかなわねぇ。だから、そんなこた頼まねぇよ」

「何か、物騒なお人だねぇ。我ながら、怖いお人に気に入られたもんだ」

身体を離し、藍は両手で己を抱いて、震えてみせる。

「おいおい。いくら俺でも、可愛いお前にそんなこたぁさせねぇから、安心しな」

藍の手を引っ張って引き寄せながら、風弥が言う。
藍は心の中で、うんざりとため息をついた。

---んもう。くっつかなくても、話ぐらいできるでしょうに。全く、よいっちゃんは、くっついたら怒るのに---

それでも与一には、藍からくっついていくのだが。
もっとも与一も、怒るというより文句を言うだけで、最終的には藍のしたいようにさせてくれる。