「何言ってるんだ。お三津だって、五歳のガキ相手に、本気なわけないだろ」

「それはそうだが、女は、ませてんぜ。お梅なんて、七つだったくせに、お前にぞっこんだったしな」

お梅・・・・・・。
どんな子だったろう。
確かころころした、おかめのような顔だったような。

「そういう三郎太は、お三津のことが好きだったのだろ」

「なっ何を・・・・・・」

いきなりの反撃に、三郎太は真っ赤になって狼狽えた。
その様子に、あれ、と思いながら、与一は障子に手をかけたまま言った。

「そういやお前、下駄屋で会ったときには、お三津のことを気にしていたな。千秋屋のお嬢さんとお三津、どっちが好きなんだ?」

「ば、馬鹿。声が大きい」

単刀直入な与一の質問に、三郎太は口の前に人差し指を立てて慌てる。