苦しくそうに泣く声を聞きながら、弁当はさすがに食べれない。


ここは最上階だから、非常階段を下りるしかないのに、下に泣いてる女の人。


横を通りすぎるなんて無理。


絶対無理。


そっと音が出ないように、目の前のドアのノブを回してみる。

開かない。


そうだよな、日曜日の誰もいない専門教室の別館の非常階段のドア。


それは、非常ドア。


開いてるわけがない。




どうする僕。




どうすれば。




どう考えてもわからない僕は、動かない事にした。


泣き止んで、いなくなるまで、ひたすらじっとしている作戦だ。