「西山さんは?いま、恋人はいますか?」 松崎くんは話の流れで私にそう聞いてきたのかもしれない。 だけど私の心では、ちょっとした迷いが生じていた。 お互い、もしもほかに違う相手がいたなら、こうして2人で会ったりしないだろう。 でもこの間、私は彼に「忘れられない人がいる」と言ったのだ。 それをどう受け取ったのかは、彼にしか分からないことだ。 「一人だよ」 と、それだけ答えた。 松崎くんはその言葉を聞いても特にこれといった大きな反応は見せず、 「そうですか」 とうなずいた。