長い旅だと思う。
とても長い旅。
人生は長い旅だと本当にそう思う。
誰がこの旅を終えられるのだろう。
刃を向けて終わらせるには、
もう長く行き過ぎた気がする。
この先を日に一歩一歩進むには、
とんでもなく長いことは目に見えている。
何かをするにはあまりにも短い。
何もしないのでは、あまりにも長い。
誰かがきっとそう言っていた。
はたしてその長さはいかほどにか。
此処にいる誰かは誰も知らない。
此処にいない誰かならきっと教えてくれない。
はたしてその苦労はいかほどにか。
誰が知っていようか。
私の苦労もあなたの災難も。
誰が同じと言えようか。
遠いお国の方ならば…
いえいえ誰も知りはしません。
知ろうとなどとはしないでしょう。
何処か遠くに吹く風に
こそっと打ち明けましょう。
この悩み。
遠く遠くに連れてって、
いつかシャボンの玉に覆われ、
誰かが吹き消してくれるやもしれません。
遠く遠くに連れてって、
鳥の羽ばたきとともになって、
優雅にかぜに乗れるやもしれません。
いえいえそれは無理でしょう。
一歩一歩もままならぬ
私に一体なにができましょう。
どうかどうか、この悩み、
あなたの悩みも誰かのものも、
誰かにそっと、とどきますように。