千秋も驚いている。 私はやっと、状況が理解できてきた。 「佐倉くん…っていうんだ」 「蒼空でいいよ。あんたは?」 「桜庭………」 「名字は知ってる」 「…美桜。 美しいに桜で、美桜」 「どうもご丁寧に漢字まで」 また笑われた。 私、何か変なこと言ってるのかな…。 「草冠に倉って方の蒼いに空。 蒼い空って書いて、蒼空」 「蒼空…くん?」 「年下だし蒼空でいいよ」 ───ああ、年下なんだ。 千秋と同い年なのかな。