「僕はもう病人ではありません。松本先生にもそう言っておいてくれますか」 手近の壁にもたれて様子を見守っていた和早の耳に入った沖田の言葉。 松本先生というのは、いわゆる新選組の健康を預かる主治医のような人で。 おそらく、沖田の労咳を診断したのも彼だろう。 「病人じゃねえって……どういうことだよ?」 「そのままの意味ですよ」 言いながら沖田は欠伸を漏らした。 おおかた説明するのがめんどくさいのだろう。