今まで斎藤と接してきて、何となく思った。 彼は… 隠したいと望むことがあればあるほど、本性を隠す。 言葉遣いを変えて、濁して、深層に触れられないようにしている。 己の性が知られることを嫌う。 それでも今、和早の前にいるのは。 彼女を導くのは、嘘偽りのない、本当の斎藤なのだろう。 ひどく率直で。 己の過去と向き合える。 本当の――。 .