健吾の腕の中で温かい気持ちでいる事に嘘はないけれど。

やっぱり気になるのは桜の事。
ベッドサイドのテーブルに置かれた赤ちゃんモニターにちゃんと電源が入ってるのをぼんやりと見ながら。
心が不安定に揺れている。

知らず知らずに出るため息に気をつかう事もできなくて、健吾の腕にも力が入る…。

そっと見上げると、何にも不安がないように優しく見つめてくれる瞳とぶつかった。

私のため息を聞いてなかったのかな…?
もし聞いてたら、こんなに穏やかな笑顔が浮かぶわけないよね…。

「…悩む事じゃないよ」

「え…?」

予想外の言葉に驚いてしまう。

「桜の事は、仕方ない。時間が解決してくれるし、悩む事じゃない」

「でも…」

「離れてたんだから仕方ないさ。
ゆっくり愛情かけてたら桜もわかってくるさ」

なんの濁りもない瞳は、本心からそう思っているのがわかるけれど、私には悩む以外にどうしようもない現実。

我が子に拒否されるほど悲しい想いはない…。