どこへ行こう



果てしなく青い空を見上げて 私はいつもの通学路から外れた。



―敏美はそんな人じゃない



まるっきり あの人の事なんて疑っていないような顔。


私の中に、ぽっかりと穴が空いた


ああ、もう駄目なんだ。


もう一人の私がそう言った


にっこり微笑む父に

“そうだね…”

取り繕った笑顔を見せて、家を出た。



全然信じてくれなかった


まるで、敏美を悪く言うな とでも言いたげなあの言い草


あの人が来てから、お父さんの中に私の存在はもう
殆どなかったようだ


勇気を出して言った言葉は何も変えてはくれなかった。

結局続く、地獄の日々。


あの人が居なくなる日は
もう一生ない。


小さい頃、私の頭を撫でてくれた優しい手は

もう私の頭を撫でてはくれない。



「…もう…やだ」


行き場のない葛藤が
心を壊していく。

ガラスが割れて飛び散る破片は、私の胸に容赦なく突き刺さる。


痛くて、目からはぼろぼろと涙が溢れた。



青い空が、滲む。