―プルルルル…
単調な電子音が 耳に響く。
コールが途切れるたび
私の心臓はどくどく高鳴っていた。
―プルル…プツ…
「………もしもし」
繋がったのは
五度目のコールの途中だった。
電話の向こうから聞こえる声に 私は一気に懐かしさが込み上げ、胸が熱くなった。
「…今…純の家の前に居る」
「…え?」
驚きに裏返る純の声を無視して私は続ける
「いま家に居る?」
「いるけど…」
「出て来て」
「え?ちょっ待」
―プツッ……ツーツー…
純の言葉を最後まで聞かずに 私は電話を切った。
携帯をポケットにしまい
純の家の壁に凭れかかって大きく息を吐いた。
色んな事が頭を過って
もう整理がつかない。
純に会って何を言いたいのか
何て言っていいのか
分からない。
ただ
私が伝えたい事は一つだけ。

