二人の言い争いを聞いていられなくなったあたしは、家を飛び出した。 何にも持たずに。 ひたすら海に向かって歩いた。 初冬ともなると、日が暮れるのが早い。 辺りは、うっすらと薄暮に包まれた。 寒いし、寂しい……。 凍える手に息を吹き掛け、寒さに耐える。 訳もなく、涙が出てきた。 あたしはこんなところで、何をやってるんだろう。 いきなり飛び出したから変に誤解されてるかもしれない。 でも、あんなところに居られないよ。 ひとりで歩く心細さと、沸き上がる感情とで、視界が涙で滲んだ。