夕暮れにもかかわらず、ウェイクボードを楽しむ若者の姿がある。 体をしなやかに曲げ、うまい具合に波に乗っていく。 波の上を歩くって、どんな感じなんだろう。 気持ちいいんだろうな。 「――七海」 「ん?」 「七海はこっちに来て幸せだったか?」 ……幸せ? そうね、あたしは幸せだったかも。 あのままあの場所にいたら、きっとあたしはおかしくなっていただろうから。 仕事を見つけ、ひとりでも生きていける糧を見つけた。 「幸せよ。――謙は?」 意地悪な質問だ。