「ねぇ、本当にその格好で行くつもり?」 「あぁ」 謙は、何か今の状況を楽しんでいるかの様子。 どう見たって、海には不釣り合いな格好だ。 ネクタイは外したものの、革靴にスーツはちょっと場違いだ。 いや、ちょっとではない。 かなり、場違いだ。 「汚れちゃうよ?この辺から眺めたらいいんじゃない?」 「いや、波打ち際まで行こう」 そう言って、謙はずんずんと前へ進んでいく。 謙はあたしの言うことなんてきかない。 そんなの分かってる。 昔からだもん。