――謙だ。変わってない。 あのときの、謙だ。 前よりいくらか太ったかな? 髪型も変わってる。ワックスを付けて動きをつけていたのに、少し落ち着いたような気がする。 この暑さなのに、ネクタイを締め、スーツの上着を手にしている謙は、どこか涼しげだ。 隣にいるおばさんなんて、団扇で扇ぎながらタオルで汗を拭き取っているというのに。 ズルい! かっこ良すぎる。 あたしなんか、駐車場から急いできたからこんなに汗をかいているのに。 それだけじゃ、ない。 謙の顔を見たら、一気に体温が上昇した。