『本当に、行くのか?』 『うん。人生一度きりだし、せっかくのチャンスを無駄にしたくないからね』 笑って、そう答えるあたし。 最後ぐらい、笑って別れたい。 大学で心理学を学んでいたあたしに、指導教官だった教授が『もう少し本格的に学んでみないか?』と、あたしの才能を買ってくれた。 まだまだ一人前には程遠いけれど、この先、道が拡がるかもしれない。 このチャンスを無駄にしてはいけないと思った。 いや、それもあるけど…… この街を、謙の元を、一刻も早く去りたいと思ったのだ。