と、 その時、馴染みのある殺気が近くなってきたことに気付いた。 「説教は、帰ったら聞く」 帰ったら。 帰れ、たら…… 「……吉水、もし」 鋭さを増す殺気に、 俺は手元の銃を強く握りしめる。 「もし、俺に何かあったら、」 トクン、 その名を口のしようとするだけで、 鼓動が乱れる。 だから、 帰るその時まで、この名を口のするのは、 これで、 最後。 「実織を頼む」