「なんだかあの二人似てるよね」

そう吉水さんがこっそり話していた。

なるほど、そうかも。



二人とも何がイラつくのかわからないけど、
いつの間にかジュン兄が
〝紘夜〟と呼ぶ様になっていて、

紘夜が〝準〟と呼ぶ様になっていたのが、

なんだか嬉しかった。


それだけで、今はいっか。
そう、思った。



紘夜の所に行く前や帰りに、静音さんの所に寄る様にした。

静音さんは、紘夜の状態を知らない。


静音さんは何も言わないけど、
心配しているのはわかったから……


だから、少しでも安心してほしくて、私はいつも以上に明るく静音さんに会いに行った。


「最近、紘夜仕事忙しくて相手してくれないんだよー」

「今日は会えるの。だから、何か紘夜に渡すものがあったら、私でよければ預かりますよ」


静音さんは、
私をいつも招き入れてくれる。

紘夜の話を優しく笑って、聞いてくれる。



後ろめたい気持ちはあったけど、
静音さんが紘夜を心配しつつも何も深く聞かないのも、
紘夜が静音さんをこれ以上心配させたくないのも、
分かる気がしたから、


私は、自分にできることを頑張ろうと、
そう思った。