「実織を出さないのなら、自力で連れ帰る。上がらせてもらうぞ」

重い扉を片手ですんなり押し開き、実織様のお兄様が中に入ろうとする。

「お、お待ちください。実織様はこちらにはおみえではありません」

「じゃあ、どこに行った?こんな遅くまであいつが連絡も入れずに帰らないはずはない。
真影と一緒なんだろう?」


そ、そうは、いわれましても…

「私は…何も知らないのです…。申し訳ありません…」

本当に申し訳なくて、うつむいてしまう。すると、
お兄様は、ひとつ大きく呼吸をして、

「…悪かった。あんたは何も悪くないのにな」

クシャ、
と、軽く前髪を掻きあげ、苦い表情になる実織様のお兄様。



あぁ…
本当ですね、実織様。



紘夜様に物怖じしない実織様。前に話してくれましたね。
言い争いになる事に慣れているからかな?と。



きっと、

紘夜様と実織様のお兄様が


似ているのですね。