「外…庭に出てもいい?」
お母さんは少しためらっているようだったが、こくりと頷いてくれた。
私は外に飛び出した。
夜空を見上げる。
淡い雪が降っていた。
まるで桜の花びらが散るときのように、風に吹かれてゆっくりと…。
「星が…落ちてきてるみたい…」
思わず独り言。
私はポケットに入れていたビンを取り出した。
コルクのフタを開けて、先生の灰を手のひらにのせてみた。
キレイ…
先生…
雪が灰の上に落ちて染みていく。
星も雪も先生みたい…
キラキラ
キラキラしてる…
白く淡く光ってる…
まるで本当にあなたがいるみたい…
先生…
ずっと
ずっと好きだよ…
私は手のひらの灰を夜空に向かってまいた。
そして雪と共に降ってくる先生を、思い切り吸い込んだ。
ねぇ先生…
これってキスかな?
いつの間にか積もっていた雪にハートのマークを書いてみた。
「先生、私、大丈夫だよ…だから…」
心配しないでね…
息を吐いてみる。
白い吐息が広がってゆく。
「キレイだね…」

