「オレは、そーゆー琴子の幸せな顔が一番好きだけど?」
ドキッ…
先生の真顔の一言に頬も熱くなる。
ズルいな…
私ばかりドキドキしてる。
「たっ…食べ物じゃないものも答えてよ」
私は照れ隠しの為に強い口調で聞いた。
「ん〜…」
先生はしばらく考え込んだ。
まさか、食べ物だけ…?
悲しすぎるじゃん。
「漫画?」
何で疑問形なのよ。
「違う?」
「好きだよ。漫画…」
「…テレビ?」
「好きだけど…」
「ハートマークとか?」
「好き…」
「犬!」
「好き」
「カラオケ?」
「好き」
「祭り!」
「好きだけど……」
なんなのこれは?
みんな大抵好きなモノばっかじゃん…。
「あっ…」
先生は急に何かを思い出したような顔をして私を指差した。
「…な…に?」
「白…」
白?
「白い吐息」
先生はそう言うと優しく笑った。
白い…吐息…
「琴子、言ってたよな。好きな色は白だって」
「えっ…あぁ…」
「寒い時に吐く息の色が好きだって」
そのことか
「ほら、ちゃんと言えただろ、食べ物以外で好きなモノも」
先生は満足そうにしていた。

