「だったのに?」
真人は琴の言葉を追う。
「後半全然覚えてないじゃ〜ん」
ポカポカと弱い力で真人の胸を叩く琴。
「オレの、せいで?」
「真人が…イキナリ…ちゅうするから…」
真人は暴れる琴の腕を握った。
「…琴子、子供みたい」
クスクス笑う真人。
「失礼ねぇ…」
鼻声の琴。
「ねえ、オレそんなに琴子のこと乱した?」
両手を拘束されながら頷く琴。
「あんな不意打ち…ズルいよ…」
「上原燈夜に見せ付けたかったんだ」
「バカ…」
ムスッとしながら耳を熱くする琴。
「そーやって唇とがらせてると、またちゅうするぞ」
「…すれば」
「人、見てるけど?」
「すれば」
「言っとくけど、さっきと違うから」
「えっ…」
琴が言葉を返すのを待たずに、真人は彼女の唇をふさいだ。
手は琴の腕を振りほどいて右手を彼女の耳元に、左手を首の後ろに回した。
真人……
真人の髪が琴の顔に降り掛かる。
琴は朦朧とした目で羽根のピアスを確認した。
こうしないと
見えないんだ…
深いキスをされながら、琴は意識の遠くでそんなことを考えていた。
「んっ…まな……るしい……っ…」
真人の唇は何度も琴を襲う。

