桜の花が舞う頃に


四LDKのこのマンションは、

お父さんがまだ生きている時に
残してくれたものだ。


ずっとずっと幼い頃の記憶が

今でも私を締め付ける。


「お父さんね、天国へ行ったの。」

お母さんの涙溢れる顔が未だに頭から離れない。


どうしてお父さんが死ななければならないのか

私は理由を知らなかったし、誰も教えてくれなかった。


お兄ちゃんも、お母さんも


ただ冷たくなったお父さんにしがみ付いていただけだった。



それからお母さんが私とお兄ちゃんを育ててくれた。


一人で、この家を私達家族を守ってくれた。





「おはよう、寝ボすけ」

「いた!」