着いた場所には綺麗な桜並木がたくさん立っている。
「気持ちがいいですね~」
穏やかな風が吹いている。
「そうね。ごめんなさいね、無理に連れ回して」
「いいんです。それよりもお体大丈夫ですか?」
「えぇ。今日はとても調子がいいの」
「約束された方に会えそうですか?」
「さぁ、どうかしらね」
今車いすを押しているこのご婦人には
昔結婚の約束をしていた人がいたらしい。
その人が生きているか亡くなっているのかは聞かなかったけど。
白百合苑に入って数年、
こうしてこのご婦人と
この時期ここを毎年歩いている。


