桜の花が舞う頃に



スタッフもみんないい人達ばかりだし、

ご老人の相手をするのも大分慣れてきた。

そして今日もこれからあるご老人と


一緒に出かける予定。



玄関には既にその人がいて


「お待たせしてすみませんでした」

車いすに乗っている彼女に声をかけた。

外へ出たい気持ちが勝っているのか、

普段自分で履けない靴を履いている。


「いいのよ、私こそ、焦っちゃって」

振り返った彼女はにこやかな笑顔を向ける。

とても年をとっているとは思えないくらい
可愛らしい笑顔。


「それじゃあ行きましょうか」

「はい、お願いします」

彼女の返事を聞き、車いすをゆっくり押して

白百合苑を出た。