桜の花が舞う頃に



少しだけ冷たい風を感じながら家路へと戻る。

マンションのエントランスに入ろうとした時。


見覚えのある男の人がガラスに寄りかかっていた。


下を向いて、何かを考えているように

あの姿は..


「陸斗先生?」


私の声にぱっと顔を上げる。


でもそこからはいつもの笑顔はなく、


何処か悲しげな表情。


何かあったのかな?



「美麗、話が、あるんだ」

話?

何かイヤな事なのかな。


もしかして愁夜さんが結婚するとか?

そういう類の話なら聞きたくない。


「先生、私何も聞くは」

「美麗、愁夜が..愁夜が..交通事故で..」


なにを、言っているの?


「先生、何の冗談?」

「冗談じゃない!!」