桜の花が舞う頃に



デートと言っても時刻は既に5時を回っていて

この時間の映画は何処も上映の最中で、水族館も動物園も

今から行っても間に合わない。



最終的にその辺をぶらぶらするしかない。


でも


彼女は本当に楽しそうに、俺の手を力強く握りしめる。


それが愛おしくて

切なくて


俺に本当に別れを切りだす事が出来るのだろうかと

不安になる。


この小さな手を、笑顔を


俺は―――



「美麗、話があるんだ」


まだ呼び慣れない名前を呼ぶと
足を止めてこちらを振り返る。


「話?」


言うべきか..どうするか...


頭の中の整理はまだ出来ない。


これ以上見ていると余計離れがたくなる

視線を外して

彼女の顔を見ないように口を開いた。


「もう、こうして会うのは最後にしたい」