桜の花が舞う頃に



世の中にこんな偶然があっていいのか。

それとも

神様が言っているんだろうか。


“妃美麗とは結ばれてはいけない”と。


最初から気付くべきだった。


もっと早くに気付いたら

こんな事にはなっていなかったかもしれない。


なんて後悔したって既に遅い。



「え?美麗の名字?」

久しぶりに陸斗と再会を果たし、いつものバーで軽く飲む。

俺はジン、陸斗はビール。

それぞれ一口飲んですぐに話を始める。



「名字なんて関係ないだろ?」

「いや、関係あるんだ」

「どういう事だ?」

「母さんが死んだ時、男が一緒だったんだ」


俺は...大事なことを忘れていた。


「その亡くなった男は妃トモヤ」

「まさかそれって..」

「多分、確実には言えないけど」

でも兄のあの視線、あの言い方は多分間違いない。


「妃美麗の父親だ」