桜の花が舞う頃に



陸斗先生はどっちかというと旅館よりもホテルの方がお似合い。


広い玄関で靴を脱いで陸斗先生だけが
フロントへと向かう。


今回の旅行はすべて陸斗先生のお任せコースらしい。


だから私も真姫も先生すら
お金を払う必要がないと言われた。


それは申し訳ない気がするんだけど。


大体、こんな高級な所だったら
お値段も相当かかるんじゃないかな?

周囲を見回しながらそんな事を考えてしまう。


広間に置かれている上品なソファーが
ずらりと並んでいる。

天井は広くて、灯りがキラキラ輝いていて。

ここに泊るんだと、改めて実感する。


誰かとの旅行は初めて。

最後に行ったのは、修学旅行くらいかな。

家族旅行は...お父さんが死んでから一度も行ってない。


「すごいな」

確かに聞こえた先生の言葉が
私に向けられているものだと信じたくて

コクリと頷く。


「ほら、行くぞ」